肺炎球菌ワクチンとはどんなワクチンですか?
高齢者の市中肺炎で最も多い起炎菌である肺炎球菌に有効なワクチンです。肺炎球菌以外の病原体による肺炎には効果がないので、すべての肺炎を予防できるわけではありません。
日本人の死因の4番目が肺炎です。高齢者を中心に肺炎で亡くなる人は年間8万人に達します。インフルエンザにかかった高齢者の1/4が細菌性肺炎になるとも言われています。悪化が早い肺炎の場合は、治療薬の効果がでる前に死亡することが少なくありません。肺炎の死亡率は薬や医療技術の向上などによって最近までは低下していました。しかし、近年再び上昇しています。
「肺炎球菌ワクチン」は高齢者の肺炎の原因となる病原体のなかで、最も頻度の高い「肺炎球菌」という細菌を狙った予防ワクチンです。当然ながら、肺炎球菌以外の微生物による肺炎の予防効果はありません。くれぐれも「肺炎球菌ワクチンはすべての肺炎に有効ということではない」ことを理解してください。さらにこのワクチンには「肺炎予防効果」とともに、肺炎球菌による「肺炎になっても軽症ですむ」、「抗生物質が効きやすい」などの効果もあります。肺炎球菌ワクチンとは、肺炎球菌によって引き起こされるいろいろな病気(感染症)を予防する効果のあるワクチンです。
高齢の慢性肺疾患患者にインフルエンザと肺炎の両ワクチンを接種すれば、入院を63%、死亡を81%減らすとの海外報告もあります。インフルエンザワクチンとの併用が望ましいとされています。
肺炎球菌ワクチンの効果の持続期間は?
5年で抗体価(ワクチンの効果を示す指標)がピーク時の8割に低下しますが、5年以後も効果は残ります。
抗体価は接種1ヶ月後で最高値となり、その後4年間はあまり低下しません。5年後にはピーク時の80%にまで抗体価が落ち、以後徐々に抗体価は低下します。しかし、5年目以降も効果は残っています。
副反応(副作用)は?
インフルエンザワクチン並に安全です。
安全性は高いといわれ、重篤な副反応は極めてまれです。よくみられる副反応には、注射部位のかゆみ、疼痛、発赤、腫脹、軽い発熱、関節痛、筋肉痛などがあります。接種日から2日後にかけて腕の疼痛などの局所反応は2〜3%、37.5度以上の発熱は10%以下です。多くは1〜3日で消失します。
世界や日本での接種状況は?
米国ではすでに65歳以上の高齢者の半分以上が接種しています。
世界保健機関(WHO)は肺炎球菌ワクチンの接種を推奨しています。米国厚生省(DHHS)の疾患管理センター(CDC)は、65歳以上の高齢者やハイリスクグループの人たちに、肺炎球菌ワクチンをインフルエンザワクチンと併用して接種するよう推奨しています。アメリカではすでに65歳以上の半数以上の人が接種しています。
接種したほうが良いのはどんな人?
インフルエンザワクチン同様に高齢者が主体。
ワクチンを接種することが好ましいと考えられる人は、65歳以上の高齢者、慢性呼吸器疾患、心不全、腎不全、肝硬変、糖尿病などの人です。これらの人は肺炎などの感染症にかかりやすく、重症になりやすいことから、ワクチン接種してもよいと思われます。
肺炎球菌ワクチンの接種時期は?
年中いつでも可能です。
この予防接種は1年中いつでもできます。ただし、日本では予防注射の法律の関係でインフルエンザなどのワクチン接種時期から1週間以上あける必要があります。米国では左右の別々の腕にインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの同時接種が許可されています。
費用はどれくらいかかりますか?
当院の肺炎球菌ワクチンの接種料金は7,500円(税込み)です。予約は必要ありません。